20代で読んでよかった本10選 その1

30歳目前の会社員的に、20代で読んで良かったと思っている本を上げてみる。


①これは水です/デヴィッド・フォスター・ウォレス

ポストモダン小説家のデヴィッド・フォスター・ウォレスが、スタンフォード大学の、卒業式で行ったスピーチを日本語訳した本。

ウォレスは、大学卒業後の社会人生活の現実を"退屈" "決まりきった日常" "些細な苛立ち"という言葉で表現する。(その通り!)

うんざりするような日々の生活の中で、正気を保ち、真に自由でいることはどういうことか。

表題の魚と水の寓話や、誰にでも心当たりのあるような生活の一場面を交えながら、スピーチは続く。

目の前の物事に対して"初期設定"の心が起こす反射的な反応に思考を任せきりにするのではなく、自分自身が何を考えるのかを選択することが真の自由なのだとウォレスは言う。

それは、半ば諦めのようにも聞こえるほど、難しい。初期設定のままでいることがどれほど楽なことか。

自分にとっては、日々の生活の中で否応なく競争に参加させられ、仕事に忙殺され、些細なことに苛立ちを覚え、自己中心的な思考に飲み込まれそうになった時に、手にとって読み返したくなる本。